返済期間の短期化と自己資金の増加
住宅金融公庫の「平成15年度公庫融資利用者調査報告」によると、元金均等返済の利用率が急増したりボーナス払いの利用率が
低下するなど、利用者はより堅実な返済をしていることがうかがえます。調査対象者は15年度に借入申し込みを行い、
16年3月31日までに融資承認を受けた人です。
調査結果によると、利用者の年齢構成は30歳代が増加したほか、60歳以上の高齢者が漸増しています。その理由は、
昭和48年生まれ前後のいわゆる団塊ジュニア世代が30歳代になったことと、二次取得者が多い60歳代以上の高齢者が大都市圏で
新築マンションへ住み替えたり建て替えが増えたからです。また、世代を問わず返済期間が短期化したり、資金調達割合に占める
手持金割合が増えているのも注目されます。務省の家計調査にも表れているように、公庫融資利用者の世帯年収は減少傾向が
続いています。
当初返済額が多くても、総返済額は減少
今回の調査で最も特徴的なことは、元金均等返済方式を利用する人の割合がマイホーム新築で前年度の7.4%から13.5%に、
建売住宅購入で5.5%から9.9%に、マンション購入で2.8%から6.1%に急増していることです。10年前の6年度は、
いずれも1%台あるいはそれ以下でした。
元金均等返済とは、元金(融資額)を返済回数で均等して利息と合わせて毎月返済する方式で、多くの民間金融機関が
採用している毎月の元利合計の返済額を毎回同一額とする元利均等返済に比べ、当初の毎月返済額が多少高くなります。
しかし、元金残高の減少にともない順次、毎月の返済額が減少しますから将来的には返済が楽になりますし、
総返済額が元利均等方式より少ないという利点もあります。
ただ、住宅金融公庫融資は元金均等方式と元利均等方式のどちらでも選べますが、都市銀行など民間金融機関の
住宅ローンの多くは元利均等方式です。詳しい内容は、最寄りの金融機関にお尋ね下さい。
2004年8月に掲載されたものを転記しています。
ジャーナリスト・斉藤良介