住まいに関わるお金のコラム

利用しやすくなった長期固定金利の"新型住宅ローン"

緩和された融資対象住宅の条件

 住宅金融公庫の証券化支援事業を活用した長期固定金利の新型住宅ローンが民間金融機関から登場して半年が経過しましたが、この間、取り扱い金融機関はみずほ、東京三菱、UFJ、三井住友、りそな、埼玉りそななど大手都市銀行がすべて参入、全国で112(3月末現在)まで拡充、いっそう利用しやすくなりました。

 この新型住宅ローンは、民間金融機関が貸し付けた債権を住宅金融公庫が買い取り、 それを担保に発行した証券を期間投資家に引き受けてもらうことで民間金融機関の金利変動リスクを回避し、長期固定ローンを扱いやすくしたものです。長期固定型ですから、ユーザーにとっては借り入れ時点で20年から最長35年の金利と返済額が確定するので、生活設計がしやすいというのが最大のメリットです。
また、融資額は取得価格の80%までで最高5,000万円ですから公庫融資より多く、融資対象も4月から戸建て住宅では敷地面積100m2以上という条件が撤廃されましたし、マンションでも床面積30m2以上に緩和されましたから、敷地面積の狭い戸建て住宅やコンパクトな単身者向けマンションなど利用できる範囲が広がったのも利点です。

秋以降には中古住宅も融資対象に

 気になる金利は取り扱い金融機関によって異なり、中には全期間2%台に設定しているところもありますが、3%台が多いようです。ちなみに、大手都市銀行の4月の実行金利は、みずほ3.05%、りそなと埼玉りそな3.19%、東京三菱3.40%、UFJ3.80%、三井住友3.83%です。

 注意したいのは、公庫融資は申し込み時点の金利が適用されますが、新型住宅ローンは融資実行時点での金利が適用されるということです。また、金利は全期間固定が基本ですが、一部の金融機関では公庫融資と同じように11年目以降の金利がアップする段階金利を設定しています。

 なお、この新型住宅ローンの融資対象は現在、新築住宅の建設と購入に限定されていますが、新年度からは中古住宅購入でも利用できるように準備を進めています。融資開始時期は、融資対象住宅の規模や築年数などの基準づくりの段階なのでそれが決まってからで、今秋以降になりそうです。

 また、新型住宅ローンを利用してマイホームを建設する人向けに、4月から無担保で"つなぎ融資"を受けられるようになりました。融資期間は、住宅の着工から完成または受け渡しの間で、完成後の融資実行時に返済することになっています。


2004年4月に掲載されたものを転記しています。
ジャーナリスト・斉藤良介
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